グローバルの壁、TPPの和

5/27醸造食品部会とのコラボ講演会

講演者: 武原タイ
経歴: 1975年東京農業大学入学、農友会合気道部、アジアアフリカ研究会所属、1977年AA研インド・スリランカ隊、1978-1979年アメリカ農業実習、1981年東京農業大学卒業、ダイエー入社、1991年Supercattle社設立、以来アメリカにて農産物貿易/食肉生産/ビジネスコンサル等アグリビジネスに携わる。農大総研グローバル情報研究部会連絡幹事。(gia-nodai.com参照)

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講演内容概略: https://db.tt/qVbZIpKq
1)「グローバルの壁、TPPの和」と題して、30年間に渡るアメリカでの生活及びビジネス体験をもとに日本とアメリカ双方の立場を踏まえてグローバルな視点でこれからの農業及び食品業界の世界展開を考えてみたいと思います。
最初に総研グローバル情報研究部会(Global Information Association)の紹介と今回醸造食品部会とのコラボ講演会を開催するに至った経緯を説明します。農大総研をより活性化して農大の持つ人的・知的財産をさらに社会と連携させる為にはグローバルと言う視点が欠かせません。大学と言うのも有機生物と一緒で農大という有機生物が成長していく中で関係性のある多様な人間や研究が常に動いて深化・進化しています。しかし、その動きはそれぞれの専門に分かれたサイロの中で存在しその縦割りの組織を横に繋ぐ仕組み作りが必要です。そこでグローバルと言う概念が必要になって来ます。グローバルと言うのは単に国と国の境を越えて国際的に地球規模で物事を考えると言う事に止まらず我々のまわりにあるあらゆる縦割りの壁を越えて考え行動するという事です。その為に先ず必要なのが情報の共有です。違った専門性を持った人々が交流して情報を交換する場を作る必要があります。そこで起きる情報の化学反応から生まれる新しい発想こそ様々な問題解決の為に我々が求めているものではないでしょうか。農大総研グローバル情報研究部会はそのプラットホームとしての役割を果たして行きたいと思っております。そこで、グローバル情報研究部会(GIA)は農大総研の各部会と協力してイベントを企画しそこに集まった情報を実際のビジネスや教育に繋げる取組を開始致しました。その第一弾として醸造食品部会xGIAのコラボ講演会が5/27/16に実現した訳です。GIAは常に新しい試みをして行きたいと考えておりますが、今回は私の話を進めるにあたりインターネットを使って進める事にトライしてみたいと思います。通常の基調講演では先に講演者が話して最後に質疑応答をする形式で行いますが、今日は私が話している最中どのタイミングでもグローバル情報研究部会のホームページ(正面壇上のスクリーン)のコミュニケーション ルームに自由にメールして下さい。そのご意見・ご質問の中から内容に応じてピックアップして対話形式で進めたいと思います。せっかく全国から高い交通費と貴重な時間ををかけて講演会の為にお集まりの参加者の皆さんとのこの一期一会の機会を活かして皆さんの持っている情報をより可視化出来ればと思います。参加者はただ話を聞くだけでなくご自分の意見を是非会場の皆さんと共有して下さい。つまり、皆さんと作る双方向のプレゼンテーションと言うわけです。これもグローバルと言う事と考えます。私が上手く対応してお答えできるか分かりませんが是非多くの皆さんのメールを期待しています。この講演会がオホーツク校や情報大その他へ同時放送されているのであれば世界の農大ネットワークからのご意見をメールで頂いてここ横井講堂でリアルタイムに情報交換出来る可能性にトライしてみたいと思います。

 

2) プレゼンテーションの題目
アメリカにおける日本の醸造食品の発展;
言うまでもなく発酵食品の世界的な普及は何も今始まった事ではなく数百年前に中国から納豆や味噌が日本に入ってきた様に昔から当たり前に行われてきた事ですが近代になって醸造食品業界として謂わゆるビジネス展開した例としてアメリカでの日本酒生産、醤油生産、味噌生産の例を幾つかのトピックスでお話ししたいと思います。

海外展開の現場での問題点;
実際に海外で農産物や食品を売買(トレーディング)・生産してビジネス展開する上での問題点を私の経験からお話します。現地オフィスの開設、人材、マーケティング、資金、業務管理、そして知的財産保護等に関して問題提起したいと思います。

すでに日本がグローバル国家であるという事;
近年、和食を世界ユネスコ遺産に登録したりして国を挙げてグローバル化をと掛け声をかけていますが、グローバルと言う言葉は明治維新の時も日露戦争の時も戦後の高度成長の時も掲げられた言葉です。その結果として日本人は既に世界中に進出しており農業生産はもとより食品加工、レストラン、商社、金融等で世界中にそのネットワークを広げています。では、何が今回のグローバル化は今までと違うのかをアメリカからの視点でお話したいと思います。

TPPと言う実験;
2006年から話し合われてきたTPP(Trans-Pacific Partnership)が日本も含めていよいよ実行されようとしています。特に農業関連では反対の意見も未だ多い様ですが醸造業界の方々には逆に大きなチャンスかも知れません。では、TPPの本質は何かなぜ今TPPなのかと言う事を独断と偏見を元に私の意見をお話します。

 

3) 今のグローバル社会、インターネット社会には情報が溢れています。おそらく、会場の優れた大学教授の方々、ビジネスオーナーの方々、問題意識の高い博学の方々の頭脳を持ってしてもグーグル博士の情報量にはかなわないでしょう。Dr. Googleに聞けばほんの数秒でどんな情報でもジャンルを問わず教えてくれます。そうなると、その溢れる情報の中から信頼できる本当に必要な情報を選りすぐる事が必要になります。そしてそこにアイデアを加えインターネットにない情報を生み出す事が大切になって来ます。では、その生きた情報を得るにはどうしたら良いのでしょうか。それは、アウトサイダーの視点ではないかと思います。高度に専門化した現代社会では一つの専門分野の人々が長年当たり前と思っていた事が外部の人から見れば当たり前でないという事があります。もっと分かりやすく言えば、海外旅行に行って他の国に行くと日本では当たり前と思っていた事がそうじゃない事がよくあります。またその逆でその国では当たり前と思われている事を日本人として疑問に思う事があります。つまり、インサイダーにアウトサイダーの視点を加えて考えるという事が必要になってきます。実はそれがグローバルの視点という事です。GIAではその様な機会を農大総研からどんどん提供してそこから生まれる生きたグローバル情報を産学官民連携で実社会に役立てるきっかけを作りたいと思っています。それもアグリカルチャーから世界の経済成長をリードする様なビジネスが生まれる事を熱望しています。この様な事は、今日お集まりの方々の中には既に認識されている方もいらっしゃると思いますが、実践されるに当たっては現実とのギャップを感じて躊躇されることが多いのではないでしょうか。それを解決するヒントは、”&” にあると私は考えます。ひとつのサイロ/縦割り社会にとどまっている事はそこに長く暮らすインサイダーにとっては非常に居心地の良いものです。外に出るとどんな怖い事が待っているか分かりません。しかし、アメリカの成功者にこう言った人がいます。「Comfort Zoneを踏み出すたびに得るものは大きい。」会場にいらっしゃる成功者の方々の中には同感される方も多いでしょう。これもインサイダーとアウトサイダーの情報の”&”による相乗効果だと思います。
今回の農大総研「醸造食品部会xGIA」コラボ講演会でどの様な結論を導き出せるか分かりませんが、今回の試みを通して私のアメリカからの情報が日本の醸造業界及び農大のさらなる発展につながれば幸いです。

5/27/2016 Tai Takehara

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