ネパール最新情報 Part4「マンパワー」

グローバル情報を平たく言うと「今世界で何が起きているのか」と言うことだろう。もちろん世界の中には日本も含まれている訳だから日本との関係性の中で何が起きているのかを考えるのがこのGIAサイトの使命と思う。そこでネパールと日本の間でいま何が起きているのかをちょっとだけ考えてみたい。日本では最近よく少子高齢化と言う言葉を聞くが下の人口ピラミッドを見ても確かに日本は45才以上が断然多い。それに比べてネパールはどうだろう?全体数こそ少ないが(※それでも約3000万人でオーストラリア人より多い)15-19才が最も多くこれ から働き盛りになる若者が多いのは歴然としている。2015年の新憲法制定により共和国の体制が整えられ、2018年には連立政権を組む二つの共産党が統合した。経済は農業への依存度が高く、GDPの三割、就業人口の三分の二(2015年)が農業に関わっている。産業では工業化の進 展が遅れている。海外からの直接投資はインドと中国が中心。アジアの最貧国の一つで一人当たりGDPが800米ドル台(※日本は約40000米ドル)。労働力の大半がインフォーマルセクターで働く。海外への出稼ぎ者からの送金がGDPの三割に達する。(2018 JILAF)

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ようするに、農村出身で働き盛りの人間が沢山いるが国内に仕事が無い。日本では平均農家年齢が65才を越えて農地が有っても農業をする人がいなくて耕作放棄地が増えて困ると嘆いているのとまるで正反対だ。また、今回ネパールを訪問して改めて思うのはネパール人の言語と計算能力。全ての国民がそうだとは言わないがネパール人の喋る日本語はそれ程アクセントがなく聞き取りやすいし英語も通じる。同じサンスクリット系のヒンズー語を話すインド人はアクセントが強い人が多いのに何故だろうか。計算能力に関してはゼロの発祥の地インドと同じ数え方をしているのか暗算が速いのが話していると分かる。ただ、ネパール全体の識字率(15+)は65%位だと言うから個人差が大きいのかも知れない。男女の格差、カーストによる教育格差も影響しているものと思われる。

さて今回の旅の話に戻ろう。ネパールの農業地帯であるチットワンで酪農、野菜、麦、バナナ畑の話をしたがその道沿いと街の中で目に付いたものがある。それは「JAPAN」という文字である。畑の横の道にも街の大通りにもJAPANという看板があちらこちらに貼ってある。そう「日本に行こう!」の看板である。偶にAUSTRALIAというのもあるがJAPANが圧倒的に多い。日本から5000キロも離れたネパールのしかも地方の農業地帯で何故JAPANなのか?

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最近日本に外国人が増えたと思うのは私だけでないと思うが爆買いの外国人観光客と一緒に日本に居住する外国人も増えている。法務局によると日本の在留外国人数はH30年末時点で273万 人(在留資格別では「永住者」28.3%、「留学」が12.3%、「技能実習」12.0%、「特別永住 者」11.8%、「技術・人文知識・国際業務」8.3%)に上り過去最高。そのうち中国人がトップ で76.4万人、昨年一番増えたのが3位のベトナム人で26.1%アップしフリピン人を越した、ネパール人はブラジル人に次いで7番目に多く8.9万人。既に10万人近くのネパール人が日本に住んでいる。これをそれぞれの国の人口で割ると面白い。中国が0.05%、ベトナムが0.35%、ネ パールが0.89%となりネパール国民の112人に1人が日本に住んでいることになる。 どうりで日本で最近ネパールカレー店の看板をよく見かけると思った。ネパールには“日本に行こう”の看板が溢れ、日本には“ネパール料理”の看板が溢れているという訳だ。ちなみに、外国に住む海外在留邦人数は133万人(2016 外務省)だそうだから日本の外に居る日本人の約2倍 の外国人が日本に居ると言う事になる。そう言ったトレンドの中で日本政府はH31年4月1日から日本の労働力不足を改善する為に特定技能というカテゴリーの外国人居住者の受け入れ数を さらに30万人増やした。今まで技能実習で3年間しか続けられなかった農業分野も条件を満た せば3年以上働ける事になる。額面通りには受け取れないとしてもたった150年前まで鎖国をしていた国としてはかなりの精神的開国じゃないだろうか。ここで私はこの制度のどうこうを言 うつもりはない。ただ現地に行って自分で見聞きしてき来たことをレポートしようと試みている。

カトマンズには現在ネパール人を日本に送り出す業者が約200あると言う。その中の殆どはネパール人かインド人が経営していて日本に行きたいネパール人を集めて日本語学校や技能実習生の受け入れ業者に紹介する。国内には就職先が少なくインフォーマルセクターで働くものが多いし公務員は安定していそうだが給与は安く採用人数も限られているからGDPの高い外国に行きたい人間は大勢いる。日本以外にもオーストラリア、ドバイ、シンガポール等出国先は様々だが日本は人種差別が少なく一生懸命やれば認めてくれると好評だ。日本の難点は日本語。英語はインド人同様慣れているが日本語は習ったことが無いからオーストラリアの様な英語圏の国の方が学校に行くにしても働くにしても行きやすいと言う。そこで日本に行く場合は先ず日本語学校に留学すると言う事になる。現在日本国内には約400校の日本語学校があって外国人の受け皿となっている。2年間で日本語を憶えて日本で就職するか大学に進学する事を目指す。その間週に28時間までは就労ビザなしでも働けるから日本語学校に通いながらアルバイトで働いて日本への渡航費と授業料の為に前借りしたローンの返済に当てるかネパールに仕送りする。週28時間と言っても仮に時給1000円とすれば週に28000円=月に約12万円の給料になるから本国の公務員の10倍は受け取れる事になる。良いことばかりの様だがGDPが50倍も高い国に住むと言うことはその生活コストも高いと言うことだからそれなりに大変とも聞く。そして、2年間の日本語学校を卒業しても日本での就職先が決まらないとビザが下りないから就活することになるが簡単には決まらない。せっかく日本語を勉強しても技能実習生と競合してネパールに帰らなくてはならないケースも出て来る。高齢化社会で働き手不足と言っている割に外国人を積極的に雇用しようとしている日本企業はまだまだ少ない様だ。問題は色々あると思うが日本語の堪能な若い外国人を帰国させるのはもったいない話である。移民政策というのは複雑でヨーロッパでもアメリカでも大騒ぎしているがグローバル社会の現代そして未来を考えればこのタイミングで良いシステムを構築する必要が日本にもあると思うのは私だけではないだろう。外国人の雇用と言うのは他国の労働力=マンパワーを買うという行為だから支払った給料が外国に送金される事でそれは日本人が海外旅行して外国で買い物をするのと同じ事になる。これは、爆買いの外国人観光客が日本で買い物をするのと全く逆の経済行為だ。だとすれば、グローバリズムと言うのはある意味お土産とマンパワーのバーター取引なのかも知れない。

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