五十而立

Wrote by Ken Hanawa (1985年農学科卒)

 

50歳になった時に、一つの目標を立てました。それは、これから毎年、それまで行ったことが無い国に行こうというものです。

今回はエジプトを選びました。

エジプトというと、まずピラミッド。そして、ナイル川、スエズ運河、モーゼの出エジプト記、アラビアのロレンスあたりが頭に浮かびます。政治に興味のある方は、アラブの春などを思い浮かべるかも知れません。数年前の大規模テロで邦人が何人か犠牲になった事件を想起する方もいると思います。

私自身、エジプトに関して文化や歴史はもちろん言語、宗教など知識が乏しい中での決行となりました。行くと決めてからいろいろ調査する行動先行型の人間なのです。

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ピラミッドに行ってみました。目の前にドーンと現われたその威容は筆舌に尽くしがたいものがあり、もっとエジプトを知りたい!モード全開です。ピラミッド時代というのは、何年ごろかご存知ですか?日本では縄文時代。あの時代に既に王国なる形があって、それを統治する王様がいて、、、と考えるとエジプトってすごい国なんだなって改めて感心してしまいます。一個の石が7トン。それを何万個も積み上げる。それが5000年経った今も厳然と存在している。補強も作り直しもしていません。内部には通路があって、玄室や空気穴など、当時のまま。今でも、一体どのように作成したのか判明されていないそうです。あの巨岩をどこから切り出し、どのように運び、どのように持ち上げたか、、、そしてその形状は完璧な四角錐。当時の設計土木技術、運搬インフラは素晴らしかったということです。もし現代、建設機械を使わず、あれと同じものを作れと言われて作れるものでしょうか?

実はエジプト内には60個のピラミッドがあります。階段状のピラミッドや斜面の途中で角度を変えて作った屈折ピラミッドなどなど。風化してガレキの山になっているものもあります。初期の頃はいろいろ試行錯誤があったようです。

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話は変わって、ミイラの話題です。これもエジプトならではの遺産。前述のピラミッドでの盗掘がひどく、今度はあまり目立たない所に墓所を作り始めました。ルクソーという町のナイル川の西側です。ここには王家の谷と呼ばれる一帯があり、斜面に横穴を掘って歴代の王様の墓所としました。その穴の数は何十とあり、そのそれぞれに膨大な財宝とともにミイラ化した王様たちが安置されたわけです。しかし、ここはやはり古代エジプト人。ほぼ全ての穴で盗掘があり、その財宝は持ち去られました。ミイラが身に着けていた財宝もことごとくはく奪されたのです。残されているのは壁画だけです。どうやらその犯人は穴掘り職人だとか。その中で、まったく目立たない穴がありました。盗人も見つけられなかったのです。それがツタンカーメンの墓です。考古学者ハワードカーターがその穴の入り口を見つけるまで8年かかったそうです。ツタンカーメンの墓からは、3000年の時を経て、その全ての副葬品が保護され、現在カイロ博物館に展示されています。黄金のマスク、金箔のベッド、宝飾の施されたイス、壺などなど、その数5000点。

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ミイラ化する目的は、生前と同じ状態で葬れば、死後再び魂がそこに宿ることができるということのようです。だから、生前身の回りにあったものを全て墓の中に安置するのです。魂が戻ってきた時、以前と同じように生活ができるようにと。しかし、盗掘によって、その目論見は外れてしまい、今頃王様の魂はどこをさまよっているのでしょうか。

栄華を誇った古代エジプトは、BC4世紀にマケドニアのアレクサンダー大王によって占領され、その幕を閉じます。その後プトレマイオス朝最後の王クレオパトラはローマ皇帝カエサルシーザーやマークアントニーらと渡り合いますが、結局この国はローマ帝国の一部となるのです。更にその後、ペルシャ、オスマン帝国の軍門に下り、近代エジプトへと移っていきます。

1か月間のエジプトの旅、考えさせられることが多々ありました。50年も生きてくると、刺激が少なくなってくるものです。多少の事では感動をおぼえなくなってしまいます。その点、エジプトは、刺激度抜群でした。

塙 健/はなわけん

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