「幻の地鶏のネギソース弁当」の企画キャンペーン
株式会社みんなの農業 秋丸剛志
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会津地鶏の普及とそれに至った背景
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私が経営する一つの会社では、会津特産物の商品設計から販売戦略、一方グリーン・ツーリズム支援までと実に多方面にわたりコンサルティング・サポートを行っており、一例として、大消費地における会津産品の販路拡大を目指し、BtoB取引を円滑にすすめるための実績作りとして、自身が経営する飲食店ワーカーズ・フェアビンデンで販売PRや需要喚起に向けたキャンペーンを実施しております。しかし、次世代型グリーン・ツーリズム構築に向けた取り組み-喜多方市高郷地区を事例に-でも御紹介した通り、東北地域の最大の課題である風評被害をどうしても払拭できず、当社取引先に御提案しても契約まで進まず、一筋縄では行かない手強い案件で御座います。そういった現状にもかかわらず、会津地鶏(加工品も含む)の販売促進は好調であり、本プロジェクトに関わる担当者からは一定の評価を頂いております。
そこで、本投稿では母校東京農業大学のOB・OGネットワークを有機的に結び付け、ビジネスを加速している事例として「会津地鶏の普及に関する産学連携プロジェクト」の取り組み内容の一部をご紹介します。現在、大消費地における会津産品の販路拡大を目指しているのですが、
・築地市場の仲卸業者などとの契約取引は行えないか
・運送会社との連携や調整だけにとどまらず、地場産の魅力ある農畜産物をどう集めるか
・そもそも、まずは販売する農産物や加工品を集めるなど体制を整えないと、業者にも売り込めない
など上記のような問題に直面しておりますが、本投稿で御紹介します「会津地鶏」が脚光を浴び、大消費地への需要喚起策が上手くいけば会津産の農産物や加工品の購買意欲も高まり、そのことからBtoB取引が拡大する起爆剤となり得ることなど鑑み、この度GIAウェブサイトのコラムに叙述することにしました。地鶏に関しては浅学非才な私からの提案で御座います。更なる検証につきましてはプロの方々にお任せしたい所存でございます。
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地鶏について-本稿に入る前の基本知識-
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国内で流通されている食用の鶏は「若どり」「地鶏」「銘柄鶏」の3種類に分けられます。「若どり」は一般的にブロイラーとも呼ばれている肉用鶏であり、孵化後三ヶ月未満と決められております。その多くは白色コーニッシュ、白色プリマスロックを交配させた品種です。一般的に、孵化後55~60日程度で出荷され、少ない飼料でかつ短期間に鶏が成長しますので大量生産がしやすいのが特徴です。また全国に流通している食用鶏の殆どが、この若どりです。尚、飼育方法などに特別な基準はありません。
また「銘柄鶏」にも地鶏のような厳密な規定はありません。若どり同様に、種類の「若どり系」、褐色の「赤系」に大別され、通常の若どりよりも飼育期間を長くすることや、良質な飼料を与えることで品質向上を目指したり、そういった工夫をしたものを指します。一般的に、地鶏ほど高価になることはなく、若どりと地鶏の中間の食用鶏という位置づけです。
それに対して「地鶏(じどり)」は、JAS(日本農林水産規格)で定義がはっきりと決められており、日本農林規格 (JAS) に記載されている、在来種由来の血液百分率が50%以上の国産銘柄鶏の総称です。在来種純系によるもの、または在来種を素びなの生産の両親か片親に使ったものです。飼育期間が80日以上であり、28日齢以降は平飼いで1m2当たり10羽以下で飼育しなければならないと厳格な基準があります。平飼いとは、鶏舎内、または屋外において、鶏が地面を自由に運動できるようにして飼育する方法です。
日本の食用鶏の出荷比率を見ますと、全体の53%が若どり、42%が若どり系の銘柄鶏、4%が赤系の銘柄鶏、そして地鶏は僅か1%しかない貴重な存在です。それだけ希少な地鶏は、高価ではなりますが、味の良さは格別であります。
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会津地鶏について
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会津地鶏はその昔、平家の落人が愛玩用に持ち込んだものが広まったと言われております。また、会津地方に伝わる伝統行事「会津彼岸獅子」(1570年代から伝承されているもの)の飾羽に会津地鶏の尾羽が使用されています。
この事から会津地鶏は、500年も前から、既に生息していたことが分かります。絶滅寸前の会津地鶏が昭和62年に発見され、福島県養鶏試験場で原種を増殖、維持しました。鹿児島大学での血液鑑定の結果、これまでの鶏とは完全な別種であることが判明し、会津地方のみで生息しています。
会津地鶏のお美味さは、この地鶏の本来持った生命力と奥会津の自然、そして奥会津の匠に支えられています。東京農大卒で生産者である「会津地鶏みしまや」は、自然に近い環境でより健康な地鶏づくりを目指しているため、JASの飼育環境基準を大幅に下回る1㎡あたり4.5羽程度で平飼いをしています。運動量が多いため身が引き締まり、歯ごたえと肉のうま味のバランスがとれた肉質になります。
また食鳥処理業者、販売者と一社にてすべて行っていますのでトレースも万全で、東京農業大学の渡邉誠喜名誉教授を顧問に迎え、品質の向上と味の追求に努めています。一方で、循環型の産業を目指して処理した際に出る廃棄物を特殊処理し堆肥にしています。
もともとは造園業を営んでいた同社社長の小平氏は、東京農業大学の畜産学科に学び資格を持っており、そのことから小平さんに白羽の矢が立ち、三島町の食鳥処理場を引き受けることになりました。そして、全ての工程を管理し美味しい地鶏を育てるために、養鶏も行うようになりました。
同氏は「鶏肉が嫌いな人は、臭みが苦手という人が多い。うちの肉はその臭みがないとよく言われるんですよ」と、どんどん肉を焼いてくれます。ムネ肉にモモ肉、どれもパサつきがなくジューシー、そしてとにかく旨みの溢れ出てくる肉という評価を得ております。「おいしい」という声がお客さんから直接伝わってくることが何よりも楽しく、うれしいといいます。比内鶏、名古屋コーチン、宮崎地頭鶏。日本三大鶏といわれている地鶏を超えるような地鶏を育てていきたいと小平さんは力強く語ってくれました。
豊かな自然と長年にわたる人々の努力によって支えられてきた三島町産会津地鶏。三島町では独自の改良を進め、会津で唯一の生産から販売までを一貫して行っています。肉の赤みが強く、美味しさがギュッと詰まった三島町産会津地鶏です。
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100食限定!幻の会津地鶏のから揚げ弁当700円-需要喚起策-
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◎会津地鶏の鶏もも肉を使って
500年も前から「会津地方」だけにわずかに生息する幻の鶏肉を使ってから揚げにしました。東京農大卒で生産者である「会津地鶏みしまや」は、食鳥処理業者、販売者と一社にてすべて行っていますのでトレースも万全です。蒸しニンニク、ショウガ、酒、丸大豆醤油で味付けしました。油はすべてCOOPサラダ油と長野県千曲川地方の菜種トラスト運動の菜種油をブレンドして使っています。添え物は長野県八ヶ岳、高見澤農園の高原レタスを50度洗いで添えました。
◎ゆでブロッコリーのマヨネーズソースかけ
標高1300m「太陽に一番近い野菜たち」と呼ばれる長野県野辺山のブロッコリーに、マヨネーズとレモン果汁のソースをかけたました。
◎ゴボウと肉のコショウ炒め
埼玉産直センターごぼうと下仁田ミートの豚もも肉をコショウで炒めました。食物繊維豊富なビンデンの新作です。
無事に100食以上販売し、盛況のうちに終えることが出来ました。皆様のご協力あっての素晴らしい企画でした。単発で終わらせず、こういった実績を重ねて、さらなる需要喚起策をうちたいと思ってます。
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アンケート
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ビンデンの会津鶏フェア行きました。大変おいしくいただきましたし、お店はほぼ満席で、とても良い雰囲気で会津地鶏のから揚げを食べていました。から揚げに大きな可能性を感じた1日でした。秋丸さんの店のような食に関心のある顧客を持っているところを拠点として展開することの意義を現場で強く感じました。
会津地鶏ですが大変おいしくいただきました同行しました、喜多方の3名も大満足という事でした。地鶏らしい弾力と味の濃さがとても良かったとのことでした。また地元のスーパー等で会津地鶏を見かけることがよくあるとのことだったので、あの内容で700円は安いという感想もいただきました。私も同感です。
今日のお昼も、お茶の水の「ワーカーズフェアビンデン」会津地鶏の唐揚げ。お米は喜多方市高郷町のもの。東京で会津の美味しいものをいただきました。産地を応援しているお店。秋丸さん、ありがとうございます!
会津のごはんがとってもおいしかった。メインの会津地鶏もかみごたえがあって、からあげの味付けもしょうがやにんにくがほどよく効いていて家庭の味でした。はじめて来たけど、またランチ食べに来たいなと思う。とてもあたたかいお店です。もっと、こういった日本食を若い人たちにも知ってほしいし、私も美味しく安全なものを作ろう、作っていこうという農家さんを応援していきたいです。改めて、食って大事だなあと思うランチタイムでした。ありがとうございました。また来ます。会津にもあそびに行きたいーい。
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「幻の地鶏のネギソース弁当」-次回の試み-
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前回同様に会津地鶏の認知度向上と、その味の良さを広めることが目的です。ただ冒頭でも説明したとおり、希少な地鶏を700円で御提供すれば、売れるのは当たり前です。本プロジェクトに関わるメンバーの一人として、この需要喚起に向けたキャンペーンを生かして、何をするか?どう販路拡大を目指すのか?を考えないといけませんね。厳しい状況ですが、本プロジェクトが成功すれば、日本の食と農はもっと面白くなるはずです。私は走り続けます。
・キャンペーン内容
じゅわ~っと滴る「幻の会津地鶏をつかったネギソース弁当」を8/21(月)100食限定で販売-in神田駿河台のお弁当屋-。肉の臭みがなく、パサつきがなくジューシー、旨みの溢れ出てくる「会津地鶏」は、近年まで絶滅寸前の危機にありましたが、本来持った生命力と奥会津の自然と匠に支えられ、会津地方では復活を遂げた幻の地鶏としてブランド化に成功しました。そんな会津地鶏を販売まで一社ですべて行なう「会津地鶏みしまや」は、会津の地鶏だけに留まらず野菜や米などを大消費へ販売、販路拡大する方法を模索しています。比内鶏、名古屋コーチン、宮崎地頭鶏など日本三大鶏といわれている地鶏を超えるような地鶏を育てていきたいと強く語る、東京農大卒の同社社長は、神田駿河台という東京のど真ん中で日本の食と農を応援している「NPO法人食農研センター」と協力し、限定100食で「会津地鶏のネギソース弁当」を特別価格にて販売PRします。
2017年8/21(月)11:00~13:00
場所:千代田区神田駿河台3-5 東京ファミリービル1F(ワーカーズ・フェアビンデン)
価格:700円 限定100食
主催:農大ハチロク会
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