川上村レタス農家と好気性微生物の新たな挑戦

戦後の日本農業は食糧増産に向け、

多種・多量の化学肥料や農薬を試みていた時代でした。

それに加えて、食の欧米化が進むにつれ

日本の食文化は大きく衰退していっていると言っても過言ではありません。

 

その影響で、従来「成人病」といわれた壮年期以降に発症していた

糖尿病、高血圧、癌などが、最近では若者にまで及んでいます。

*名称も「生活習慣病」となりました

 

4d0e198bd24003d274003c5c6b21de0e_m

 

ただ昨今では、消費者・食流通関係及び、

飲食店関係者からも「食の安全・安心」 への関心と要望はより強くなり、

それと同時に、各地では「日本人にとっての食のあり方」についての議論も高まり、

行政も”和食”を安全・安心でヘルシーと謳い、国内だけでなく国外にも積極的にPRし始めました。

 

これは食糧増産重視の考えで、多量の化学肥料・農薬による時代から

「食の安心・安全」ブランドを保つための持続性の高い農業生産への変換へと示唆しております。

 

DSC_2629

936033_425529814243446_474014248_n-300x225

レタス

 

そんな時代背景の下、

株式会社葉物屋(長野県川上村のレタス農家)と

好気性微生物の工場生産化に成功した株式会社ウェイテクネットが目指す、

新たな農業経営の在り方について叙述し、

持続的発展に向けた望ましい農業構造の確立を見出すヒントになれば幸いです。

 

▽ 川上村の紹介

そもそも川上村といえば、日本一の高原レタスの産地であり、

その歴史は古く、昭和22年以降の朝鮮戦争を発端とする所謂野菜版の朝鮮特需として、

長野県内特に八ヶ岳を中心に米軍向けに生産が始まりました。

 

昭和40年以降は、日本経済の高度成長に伴う食生活の欧米化を背景に、

レタスの需要が大きく伸長したことで作付面積が急増し、

さらにはレタスの栽培技術や予冷施設の普及によって全国一の高原レタスの産地に成長。

現在、村の基幹産業は野菜産業であり、

6月から10月にかけ高原野菜が全国に出荷されています。

 

▽ 株式会社葉物屋が好気性微生物を取り組むことで

農作物は同じものを栽培していても、その土地や風土

栽培スタイルなどによって様々です。

そのようなことから好気性微生物も、

各エリア・各農家さんに合わせて使用方法を構築していく必要があります。

株式会社葉物屋と取り組むことにより

高原野菜エリアでの好気性微生物使用方法の構築及び普及活動ができればと考えています。

 

▽ 好気性微生物を取り入れて葉物屋のレタスはどう変わったか

好気性微生物を育苗ハウスから使用する事で、

土壌に定植した後の病害虫のリスクの低減により

収穫率の大幅な増加となり収益増加に繋がっています。

また土壌に好気性微生物を投入すると共に、

好気性微生物を葉面散布し、様々な方面から抗菌したレタス栽培を行っています。

 

▽ 今度、株式会社葉物屋とどういった仕掛けをしていきたいか

現状、日本人の方以外に毎年海外研修生の方が来られレタス栽培の勉強をされています。

この様な方々にも好気性微生物の使用法など指導する事が出来ればと考えています。

 

077

 

【補足】

アジア市場に挑戦する若手農家の奮闘記でも先述したように

海外では安全・安心へのニーズが高まっているが、質の高い野菜を入手することが難しいため、

今後日本ブランドの野菜を求める市場は急速に拡大すると言われています。

 

安心・安全な栽培技術で日本の支援を求める声は特に東南アジア諸国で強く、

川上村式のレタスは農薬や化学肥料を基準の半分に抑えているため、

安全な農法の伝承という点でも期待されています。

 

▽ 好気性微生物について

好気性生物(こうきせいせいぶつ)、または好気性菌は酸素に基づく代謝機構を備えた生物である。

細胞の呼吸で知られた過程の中で、好気性菌は、

たとえば糖や脂質のような基質を酸化してエネルギーを得るために、酸素を利用する。

またこれと対立した概念は嫌気性生物である。

* Wikipedia引用

 

wl_ph_free_a023

 

植物が必要とする基本的な栄養素は、窒素・リン酸・カリなどの化合物です。

各種の栄養肥料の殆どは有機化合物でそれ自体では植物は吸収できません。

では、何故吸収するようになるのでしょうか?

 

それは、一般の土壌にいる好気性微生物が有機物を無機質に分解して

(窒素化合物から化合物を分解し窒素だけの無機質だけ残す)

植物が吸収できるようにするのです。

 

どれだけ化学肥料をやっても、それが有機物を分解する機能がなければ、

植物は栄養として吸収できないのです。

 

化学肥料を大量にやると、土壌に生息している好気性微生物は盛んにそれを餌とし繁殖します。

好気性微生物が繁殖するには大量の酸素が必要です。

然し土壌を満足いくまで攪拌する事はなかなか困難です。

 

その事により元々いた好気性微生物が死滅し、嫌気性の菌が発生する事になり、

土壌がやせて生育を妨げ、更に色々な病気を発生させる結果となります。

 

▽ 好気性微生物の実用化

農薬や化学肥料を極力使わず、

土や水、空気に含まれる好気性微生物や自然界に存在するミネラル、

エネルギーなどで作物の生命力を最大限に引き出す栽培方法を行い、

各資材関係も「大地の子」シリーズとして生産し、

持続性の高い農業生産を推進してきました。

* 写真は八ヶ岳川上村の㈱葉物屋と、野辺山でほうれん草を栽培する㈱アグレス

 

11745614_850043168377271_9055741057274100138_n

11160687_847830168598571_4444111400612842859_n

 

大地の子には、河川の浄化・油分分解・工場廃液浄化・etc など

20数年に及び実績のある、好気性微物生を効率よく、バーク資材その他に繁殖培養し、

また天然鉱物(石墨片石・緑色片石)のミネラル微量要素 をブレンドしております。

 

この事により下記のような特徴が有ります。

• 微生物の増殖富化は、必然的に根圏を清浄化して、根の障害を軽減化すると同時に、無機物や有機物の分解を進め、それらの成分の吸収を旺盛にし、根の生育を促進します

• 微生物の増殖は、菌体の分泌物などの良質の動物性の窒素や、ホ ルモン類を芝草の根に供給しますので、土壌微生物の豊富な芝地はそれなりに、植生の生育が好転いたします

• 有害菌に対する免疫力(静菌作用)の増進による耐病性の向上は、減量した農薬・化学肥料での栽培管理のもたらす労力と、時間の省力化に大きく貢献いたします

• 地球規模でのCO2削減に大きく貢献いたします

• 窒素分を速やかに分解し、硝酸態窒素分を削減します

 

▽ 特殊天然鉱物の土壌改良資材 「大地のミネラル」

大地の宝物は商品名であり、

株式会社日本鉱物化学研究所 株式会社日本鉱物化学研究所

(全国土壌改良資材協議会会員)で製品化された鉱物質土壌改良資材です。

 

原料となる鉱石は日本で最も古い地層の秩父系古生層小佛統を含む

山梨県東北部周辺より採石される石墨片岩等を母岩とする

断層粘土の集合体である鉱石です。

 

これを選鉱・乾燥後、ジョークラッシヤーで粗砕、

必要に応じて2段ロールクラッシヤーで中砕、

特殊なフレットミルで微粉砕し『大地の宝物』となります。

 

これに糖蜜を加え平板法により粒状化したものが粒状品です。

これは土壌水により容易に分解します。

 

造岩鉱物組成は石英・長石・斜長石が主体で

他に方解石・絹雲母・黄鉄 鉱・チタン石・磁鉄鉱・硫磁鉄鉱・石墨・緑泥石や

粘土鉱物(X線回析)としてイライト・クロライトが主に認められます。

 

【補足】

昭和28年3月、丸木長雄氏(元東京農業大学三鷹農業長・大日本農会より褒賞)を

中心に全国の篤農家グル―プ(みつち会)で、

水稲・疏菜・果樹等、作物全般について試験施用を開始しました。

 

初年度より増収・品質向上等、著しい効果が認められ、

以降試験グループの増員に伴い様々な施用法が試みられました。

 

その結果、多肥栽培や連年施用において効果が更に向上するとともに

植物の耐病性を高める効果が確認されました。

昭和40年代に入り漸く有識者の注目を浴び、作物関係においては東京農業大学。

金木博士米安博士、土壌関係においては東京農業大学・故 横井博士、

東北大学・故増井博士、山梨県農業技術研究所・夜久博士により効果を確認され、

各地の農業試験場等において各種作物に対する効 果確認試験を実施致しました。

結果は何れも他に例を見ない高品質・高収量の成績を示しており、

『綜合ミネラル宝素成績集』に詳細にまとめられています。

 

▽ 日本の資材を海外へ

今年は、2015年ミラ国際博覧会が開かれますが、幸いにも今回は、

メインテーマが「地球に食料を、生命にエネルギーを」サブタイトルとして

 

1.食料の安全、保安、品質ための科学技術

2.農業と生物多様性の為の技術

3.農業植物サプライチェーンの革新

4.食育

5.よりよい生活様式の為の食

6.食と文化

7.食の協力と開発

 

上記の事から、好気性微生物での、

農業・水産・畜産・農業などのパネル展示をはじめ、

好気性微生物を利用した各農家・及びその商品加工品等を出展させて頂きました。

 

11214217_854867331259636_1167479879394780401_n

20150424_1925126

11391190_830272283687693_4477565485298295563_n

 

▽ 今後国内外でどういった活動をしていくのか

好気性微生物に限らず、

微生物を利用した農法は、積極的な営業展開は無理だと考えております。

 

それは目に見えない商品ですので、技術を必要とします。

また一つのマニアル書を作製したとしても、

それはその現場だけに通用するもので、他で通用する物ではありません。

 

もし営業展開するとすれば、

一つの農家で好気性微生物での栽培が4年前後問題なければ、

知り合いの農家に紹介していただき、

其処でまた実験を開始し成果を得て、他に広げていくようなスタイルです。

現状、そういった方法で無いと、確実に広げられないと感じてます。

逆に好気性微生物栽培を止めていく農家さんを

極力少なくしていくことが肝心化と考えます。

 

海外での展開は、独断営業展開はしておりませんが、

Webからの問い合わせ、大学からの問い合わせなどで、実験的に行っております。

 

▽ 好気性微生物を海外の土地で実験しているのか、その効果など

海外での実験は、インドネシアで九州大学農学院・インドネシア

ボゴール大学と共同で、

パレンバン地区での強酸土壌(Ph3.8)を中性化に上げていく実験を昨年から行っています。

 

中国では、上海近郊での、稲作栽培に5年前から行いましたが、

水が悪く、今は黒竜江省方正県で、水稲栽培(3万坪)指導し、

現在4年目を迎え、現地のメディアにも紹介されてます。

 

また雲南省では日本で指導した農家が、

好気性微生物の会社を作り、水稲栽培を中心に活動されてます。

 

韓国では、農業・水産・環境問題で、すでに始動して10年になりますが、

その会社は、韓国でも有名な企業として、政府からの認知されております。

 

▽ 好気性微生物を利用する農家の海外展開、それをどうサポートするのか

海外での展開サポートですが、飽くまでも国内と同じスタンスで、

積極的に営業展開する考えはありませんが、

上記のような形で有れば、技術契約し、日本に来て頂き、

実際に各農家で技術指導し、その方が現地で指導するような形ができればと考えます。

 

付随しますが、日本農家の方も、カンボジア・イタリア・台湾

色々な所で海外展開を考えられてる方からの引き合いは多いですので、

その方を中心に展開する必要がありますし、技術がなによりかと考えます。

wrote by T.AKIMARU on 2015/7/20

Related post

Pickup post

Comment

There are no comment yet.

話題の本の紹介

Recent post Recommend post
  1. DJ Kamazuka のグローバルレポート No1

  2. ブラジル訪問記 2024

  3. 総研告知第8回GIAコラボ農xグローバルxスポーツ

  4. GIAアルコー会in熊野

  5. 「GIAアルコ―会 2023冬 in 熊野古道」のご案内

  6. ガーナ北部における環境再生型農業の研究開発

  1. バージニア工科大訪問 日本語学習 報告

  2. 話 題 の 図 書

  3. JUST WALK OUT

  4. グローバル情報研究部会 WEB セミナーのお知らせ

  5. 薬用植物による国際協力支援に挑む!

  6. 第3回GIAコラボ講演内容-SDGsに向かって-

SDGsポスター

TOP