日本の食料・農業・農村②

まず食料は、ひと言で言えば飽食の時代と言うことですから

飽食の次に何があるのかを考えさせられます。

 

日本はこの70年間で食べ物が何も無いところから良くここまで持って来たものです。

その意味では日本は大成功を収めたのではないでしょうか。

なのに若者の体躯・体力が貧弱になった様に見えるのは皮肉なことです。

 

2,600カロリーの中には食べ残してゴミになる量が含まれている事も考える必要があるでしょう。

アメリカは平均カロリー摂取が3,800カロリー/日と言われますから

日本より1,000カロリー以上多い事になりあの肥満体を見れば過剰摂取はあきらかです。

植物タンパクと魚が多い日本食の日本人が動物タンパクいっぱいの

欧米食のアメリカ人の様になるとは思いませんが

糖尿病患者が増えている事を考えれば同じ飽食の道を辿っているのかも知れません。

 

要は食料はカロリーだけの問題でなく’Behavior’の問題と考えます。

生活習慣からくる食べ方の問題です。

 

ファーストフードやコンビニは(もちろんスーパーも)その辺を含めた

生活習慣デザインを考える必要があるでしょう。

学校教育は当然そこを考えた上での食育をすると良いと思います。

食料を考えることは胃袋を満たすことだけでなく生活スタイルを考えることと言うのが

飽食の次に来る時代の要請ではないでしょうか。

食は生きる事そのものだと言うことです。

 

ここでもやはり’健康’と言うのがキーワードになると思います。

食料自給率に関してはTPP云々で食料自給率がますます落ちると大変だと言われますが

実際にはあまり問題にはならないでしょう。

(食料自給率を何らかの指標にする事で外交交渉や民意誘導に利用するのは有効な手段ですが。)

 

農業は、職業として考えると現代の知価社会の中では

超ブラックな仕事に分類されてしまうのでしょう。

しかも報酬が少ないとなればなおさらです。

やはり農業所得を上げるのが一番でしょうが

世界一高いお米が安値と言われる国においては簡単ではなさそうです。

 

これは戦後日本がGDPを急ピッチで上げて高度経済成長を果たす為に

工業生産向上と国民の食料確保の為の稲作を中心とする

食料生産向上を両立させた仕組みから来たものと思います。

そこに戦勝国アメリカの日本マーケットに対する

自国農業生産物輸出増大戦略による西洋食化とが重なって、

ある意味日本の農業問題は無理筋の戦後農政に任せてしまった事に起因していると思われます。

しかしそのお陰で食の多様性が広がり日本人の味覚に対する繊細さも加わって

日本食文化を熟成させそこから世界の和食が生まれました。

おそらく東京ほど世界のありとあらゆる人種のエスニックレストランがある街はないでしょう。

 

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食文化は花開きましたがそれを支えるべき日本の農業は戦後農政の犠牲になりました。

が農業においても解決策はグローバル化でしょう。

日本人が海外に行って農業するのもそうですが、

外国人が日本に来て農業すると言うのもこれからは増やしたら良いと思います。

 

それも単に労働力として農業労働者になる為に来るだけでなく、

外国人(特に男性にも)に日本の農家になってもらえば

日本の農業生産力を高めて食料自給率を上げてくれる上に

自分の来た国の為の農作物を生産して日本からの農産物輸出を増やしてくれるかも知れません。

何も日本人が作って日本人が海外に出て行って売るのだけが日本の農産物輸出ではありません。

何と言っても耕作放棄地(=耕作可能地)は埼玉県ほどもあるわけですから。

私の考え方から行くと、日本の農業問題解決には

こう言った聖域の無いグローバルな感覚が役に立つと考えます。

 

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最後に農村ですが、日本の様な交通機関はじめ

インフラが整備されていて都会と農村の近い国では

中山間地域の活性化は比較的楽なのではないかと思います。

実際地方の過疎化や農村の崩壊は進んでると聞きますが

住環境としての農村はけして最悪のものではありません。

 

憶えてられると思いますが我々が大学生だった頃東京では

TVが7ch観れましたが田舎に行くとNHKだけでした。

コンビニもありませんでしたし都市と農村では絶対的な情報格差がありました。

今は日本中インターネットの繋がらないところはありませんしどんな田舎に行っても

1時間以内にコンビニに行けない所を探す方が難しいでしょう。

 

そう考えれば住居ひとつとっても農村は

家も庭も広々とした所に住めますし騒音でうるさくもありません。

一般的に生活コストも都市より安いですし自然豊かで空気も景色も良い。

考え様によっては農村は住みやすい場所です。

 

問題は農村が閉鎖的な人間社会を形成しがちな事にあるのでは無いでしょうか。

また、守られた農家の特性と言うか外部からの人間を受け入れるのが

あまり上手く無いような気がします。

もっと出入り自由な流動性のある農村と言うのがあって良いと思います。

そうすれば、農村に住みたい農業をしたいと言う人間は結構いますから

若者の参入も増え農業者年齢も下がるのでは無いでょうか。

 

農業は時間がかかるものです。

年金を貰いながらの熟年農業参入も悪くありませんが

やはり時間を沢山持っているうちに農業を始めるのがbetterでしょう。

また、ここにも外国人のパワーを利用する為に農村への移住を奨励したら良いとおもいます。

日本の農村にまた違った魅力を感じて

新しい農村コミュニティーの形を発見出来るかも知れません。

 

by Tai Takehara, wrote on 1/5/2016

 

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