食農を取り入れた予防医学と機能性食品の可能性

食の安全性が議題に上がると”安全”が多用されてしまい、ロハス至上主義者による一方通行感、誘導、押し付け感が否めないので能動的に理解を深める事が出来てないのが、私の主観です。現代のトレンドである”機能性食品”も、その単語が一人歩きし、この魔法の言葉つまりは科学的証明が出来てない概念が生産者や消費者だけに留まらず、農業団体までも”安全”で”効果的”と断言さえしてしまう世の中に疑問を持ってしまったのが、本テーマを寄稿しようとおもった契機であります。

機能性食品は、不可欠な栄養上のニーズに応えるだけでなく、がんなどの慢性疾患のリスクを低減すると云われ、又、認知能力の健康状態の改善や体重管理をすることで健康促進にもなると云われてますが、それを過度に期待するのも良くありません。例えば、今ホットなエゴマでさえも機能性成分を検索してもハッキリとした効果が出ていません。

栄養補助食品と呼ばれることが多い、市販のサプリメントが追加処理された食品もありますが、これらは主に天然植物源から得られ、健康促進を目的に他の食品に添付されます。例えば、繊維食や、ビタミンやカルシウムを添付したジュースやエネルギー飲料など。また近年、新たなカテゴリーが出現していますが、その一例が高糖度リコピンといった遺伝的改善を行なったトマトなど。

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健康志向の消費者に支持されつつ、機能性食品は食品業界の大きなトレンドといっても過言でもないし、その世界的価値は300億ドルを優に超すと云われております(2014年当時)。しかし、機能性食品という名称は規制対象ではなく、米国栄養士会でも、私の見解同様に、健康上の利益の可能性のある食品と定義しています。ただ、人々の健康の改善において何らかの役割を果たす大きな可能性があります。そういった事を鑑み、本稿では機能性食品や予防医学といった概念を整理し、科学的視点で考察します。又、去る3月末日に行なわれた丸の内グラムマルシェを事例に、丸の内オフィスワーカーなどの機能性食品に対する反応など叙述したい。本当に正しい情報を農産物の生産現場から販売者レベルまで共有することで、機能性や予防医学といった新たな農業外収益や販売方法を確立し、川上から川下まで恩恵を享受できるシステムを構築できるよう私も努力したい。

エゴマ脱脂粕に含まれるアラキドン酸リポキシゲナーゼ阻害成分

 

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はじめに-本稿に入る前の基本知識-

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【機能性食品】

健康志向と相まって「機能性食品」という概念が話題になっております。

(1)保健機能食品

保健機能食品は、国の許可等の必要性や食品の目的、機能等の違いによって①「特定保健用食品」 ②「栄養機能食品」 ③「機能性表示食品」の 3 つに分類されます。

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① 特定保健用食品

体の生理学的機能や生物学的活動に影響を与える保健機能成分を含み、食生活において特定の保健の目的で摂取するものです。その摂取により、トクホのように当該保健の目的が期待できる旨の表示をする食品です。食品を特定保健用食品として販売するには、個別に生理的機能や特定の保健機能を示す有効性や安全性等に関する国の審査を受け許可(承認)を得なければ なりません。

② 栄養機能食品

体の健全な成長、発達、健康の維持に必要な栄養成分(無機質、ビタミ ンなど)の補給・補完を目的としたものです。高齢化や食生活の乱れなど により、通常の食生活を行うことが難しく、1 日に必要な栄養成分を摂取できない場合などに、栄養成分の補給・補完の目的で摂取する食品です。栄養機能食品と称して販売するには、国が定めた規格基準に適合する必要があり、その規格基準に適合すれば国などへの許可申請や届出の必要はなく、製造・販売することができます。許可マークはありません。

③ 機能性表示食品

機能性を表示できる食品として、新しく加わった制度に基づく食品です。安全性の確保を前提として、科学的根拠に基づいた機能性(健康の維持および増進に役立つ、特定の保健目的が期待できる機能)が事業者の責任において、食品表示基準等に基づいて表示されるものです。販売前に、安全性および機能性の根拠に関する情報などが、消費者庁長官に届けられたもので、個別の許可を受けたものではありません。

(好きになる栄養学第2版から引用)

 

 

【予防医学】

予防医学とは、病気にかからないようにするための予防の医学です。つまり、疾病の発生・経過・分布・消長とそれに影響をおよぼす原因を研究し、疾病の予防を行うことや、病気になりにくい心身の健康増進を図るための学問で、狭義には、「病気になってしまってからそれを治すことより、病気になりにくい心身を作る。病気を予防し、健康を維持する」という考え方に基づいている医学といえます。人間ドックや健康診断も予防医学の一つ。また、アーユルヴェーダなどの伝統医学も予防医学的な考え方を持っています。

(Wikipediaから引用)

 

【食の安全とは~よくある質問を例に~】

「リンゴのビタミンC、錠剤のビタミンC、どちらが健康なのか?」

「天然と化学物質」

「ナチュラルとケミカル」

「自然と人工」

「有機と無機」

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>「リンゴのビタミンC、錠剤のビタミンC、どちらが健康なのか?」

ビタミンC(アスコルビン酸)だけを見たら、リンゴも錠剤も同じものです。リンゴに求める栄養素はアスコルビン酸のみではないです。

 

>「天然と化学物質」

どちらも化学物質です。サトウキビには砂糖(グルコース、ショ糖など)が含まれています。砂糖はサトウキビのしぼり汁から抽出します。砂糖も化学物質です。

リンゴのビタミンCも、トマトのリコピンも、ゴマのセサミンも全て「化学物質」です。

 

>「ナチュラルとケミカル」「自然と人工」

ナチュラル=天然、ケミカル=人工化学物質

上記のような定義でしょうか?

天然という言葉は、「天」からの自「然」の恵みというような言葉の意味だと仮定すると、宗教的、思想的な言葉であると思われます。上記判断前提があるならば、自然素材からの抽出物を天然物、化学反応を用いて有機合成したものを人工物・ケミカルという表現になるかなと推察します。

 

>「有機と無機」

有機という言葉の意味を定めなければいけません。有機化学という分野は、化学物質を人工的に合成する科学です。近年では、有機というと「オーガニック」、「自然食品」などの言葉が連想されます。

 

健康志向と相まって「機能性食品」という概念が取り入れられるようになりました。 極論だが「トマトを食べれば病気が治る」、これをもし証明することができればトマトは「薬」に登録されます。ビタミンAが不足すると〇〇になる、これはカテキンが不足すると〇〇という証明が出来ていないのが現状。勿論ロマンがある分野であるが、機能性食品に期待しているのは、薬のような「効果」ではなく「微効」であると言えます。

又、すこし飛躍する話ではありますが、機能性という付加価値を生み出すことで、100円のレタスを300円で販売する事も可能です。こういった錬金術的考えは、御客様の病気を完治させることも目的にしていなければ、それを証明するほど科学技術が追い付いていないのが現実であります。

私のように主に生鮮物を扱う会社は、鮮度や味に軸足を置き、そういった農産物を提供し続けることが大事であり、発酵食品や機能性食品などの流行物も勿論理解することで、「効果」ではなく「夢(ロマン)」を提供するスタンスで留めるのが妥当ではないでしょうか。

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(論調)ヨーグルトを食べ続けるブルガリアは長寿国で有名

(仮説)ヨーグルトには長寿の秘訣がありそう

(事実)ヨーグルトには乳酸菌が含まれている

 

「乳酸菌は免疫賦活作用がありそう」

ヨーグルトを食べ続けるブルガリア人は定期的に乳酸菌を接種し続けている事によって、免疫力が向上し、長寿の方たちが多いようだ。

仮説の域を超えていない。まだまだ証明するのは難しそう。腸内フローラ解析などで今後明らかになるかもしれませんね。

 

短絡的であるが、乳酸菌が長寿の決め手と拡大解釈し、乳酸菌が長寿の秘訣になっているという事象が栄養成分、腸内フローラ、もろもろで明らかになってきたと云うので、ヨーグルトを食べると長生きできるの「かもしれない」。この論調ですと、上記の様に夢は提供できています。

 

 

「ヨーグルト=病気がなおる」

「乳酸菌=がん治療薬」

*本来は「がん予防に期待?」くらいのものでしょうか

 

上記2例のような誇張表現になると怖いのが、流行物の健康食品を売るが、儲けてすぐ倒産。次の流行物がでてきたらパッと売ってすぐ倒産。上記のビジネスモデルも儲けるには良いですが、闘病に苦しむ方々にとって、こういったビジネスはあまりにもバカにしているように思い、大変遺憾であります。

 

【補足~ビタミンについて~】

ビタミンは、我々人間が生命及び健康的な生活に欠かせません。ビタミン不足は健康を脅かし、死に至らしめることもあります。さらに、ビタミンDはがん予防やアルツハイマー病リスク低減の役割など、健康促進や疾患治療においても大きな可能性を持っていると云われております。それらは日々の食事から摂取するものですので、こういった分野のエキスパートである管理栄養士の役割とともに、食を基点とした予防医学が現代ニーズだと捉え、下記のようなイベントを行ない、参加者の反応を見てみました。

 

【事例~機能性食品と予防医学について~】

グラムマルシェ2018-農大ハチロク会×管理栄養士-

 

gramme Marchéは、お客様との会話を大切に、欲しい食材を無駄なく必要な分だけg(グラム)単位で 量って購入できる”量り売り”をテーマに、安心・安全な国産食材を直接販売するイベントです。

今回のグラムマルシェでは「fresh challenge – あたらしい試み」をテーマに、作物本来の持つ美味しさや安全性の高い商品を消費者に届けるためのネットワーク作りやコミュニケーション方法にこだわった販売に挑戦する若手を中心とした12店舗が揃ったそうです。

 

さらに今回の特別企画として、出店店舗のひとつであり、我らが「農大ハチロク会」(東京農業大学出身、1986年生まれの生産者・加工業者・醸造関係者の集まる団体)のビジネスパートナーである渡部成実(管理栄養士/モデル/福島県観光大使)がマルシェで販売している野菜・果物の機能性についてレクチャーするトークイベントを行いました。

アンケート集計を行なっていないので、これはあくまでも個人の感想ですが、購買者やイベント参加者の多くは産地や新鮮さ、それに加えて料理方法や身体にどういった作用をもたらすかなど機能性について学びたい方々が多かったです。傾向的に、20,30代女性客は「美味しそう」という判断基準が多かったのが否めなかったので、今後の課題としては彼女らに食リテラシーの向上や栄養素を学ぶ機会の場を多く設けるのが先決でしょうね。

余談というか、最後に、自宅でできる腸内細菌叢(腸内フローラ)検査サービスマイキンソーのサービス内容と、自身の結果内容を紹介します。

Mykinsoは、最先端の生物学・情報科学のテクノロジーに支えられ、腸内細菌全体をDNAレベルで検査し、迅速に全体像を明らかにしてくれます。又、研究参加に同意いただいた方のアンケートと検査結果は、様々な最先端の研究に使われますので、腸内フローラなどまだ解析できてない分野に貢献したい方は是非お試しください。研究は、国立研究開発法人理化学研究所など、さまざまな分野の専門家との共同研究として行われます。

 

・腸活を頑張っている方

・健康に気を配っている方

・お通じやお腹の調子に不安のある方

 

下記、検査結果を少し添付しました。上記の方々にお勧めしておりますが、人類の進歩に貢献したい方も是非お試しください。

 

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菌叢も割とありきたりで「改善食」がいまいち提示されていないというのが、個人の感想です。ただオプションで管理栄養士のアドバイス?食事提案?があります。又、発酵食品などを摂り続けなさいとは云ってはいるので、私の農産加工物ネットワークで製品を当て込むことも出来そうです。農業業界にとって、これもロマンのある話です。

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株式会社みんなの農業代表 秋丸

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