南米大陸レポート-その2-ブロッケオ

wrote by Tai Takehara

パラグアイ-ボリビアの国境を越え、Rstado Plurinacional de Boliviaボリビア多民族国に入った。だんだん緑が濃くなってきた車窓の風景の中をバスは相変わらずガンガン走り続ける。目的地サンタクルスはアマゾン川に繋がるリオグランデ川流域だがそのせいか少しジャングルっぽくなってきた。確かゲバラが死んだのもサンタクルスの近くだった筈だからきっとこの辺でゲリラ活動をしていたに違いない。知らない土地で20時間近くもバスに乗っていると自分が今どの辺にいるのか分からなくなる。Googleマップでも見れればわかるだろうがWI-FIも無くそうもいかない。パラグアイ チャコ地方の真っ直ぐな道に比べボリビアに入ると少しワインディングロードになってきたから標高が少し上がり始めたのだろうか。途中立ち寄った小さな集落ではボリビアの人々が昔ながらのマーケットで買い物をして賑わっていた。昼過ぎだったからここまでで約17時間バスに乗っていたことになる。今まで殆ど集落らしい集落も無い道を走って来たからサンタクルスが近ずいて来たのかなと思わせる賑わいだった。そこで買い込んだと思われるゴハンの上に鶏肉の唐揚げの乗ったランチをカウボーイハットをかぶった車掌がその太い手で配ってくれた。少し温かいところが気が利いてる。

バスは快調に進み若干の腰痛を感じながらも好天にも恵まれ気分良くあと数時間で到着するのかなーと思っていたら、突然バスが止まった。見ると前には大型トラックが何台も連なって止まっている。国境はもう通過したからこんどはそろそろ渋滞か?まーすぐまた走り出すだろうと気楽に考えていたがそのうち乗客が降りてバスの回りに屯ろし始めた。ドライバーと車掌も外でブラブラしている。降りて後どれくらい時間がかかるか聞くと走り出せばサンタクルスまであと2時間くらいだと言う。見ると道の前方にはかなり長いトラックの列が出来ている。そして、その脇の藪の中にはボリビア-パラグアイ間のパイプラインが道路に沿って引いてあるのを見つけた。天然ガス資源の豊富なボリビアはこれが国の経済を支える重要な命綱だ。パラグアイに天然ガスを輸出する為のものだろう。

陽は少し傾き始めていたがまーあと2時間なら走り始めれば少し遅れて到着するだろうとバスの席に戻って待っていたが一向に動き出す気配が無い。そのうち何処からとも無くバイクが対向車線を走ってやって来て乗客の何人かがバイクの後部座席に荷物を抱えて跨りサンタクルス方面に行き始めた。1人去り2人去りバスの乗客は私の後ろの席に座っていた年配の太ったボリビア人らしき女性くらいになり、さて如何するべきか? いよいよ私も痺れを切らして車掌に荷物を降ろして貰いドライバーとアディオスしてサンタクルス方向に歩きはじめた。バイクが寄って来て乗って行かないかと声をかけるが150メートルくらい歩けば町があるとバスのドライバーから聞いていたのでキャリーバックを引っぱりながら止まっているトラックの列を横目に国道を歩く。

気が付けば夕方になり周りは薄暗くなりかけていた。その段階で私はまだ事の重大さに気が付いておらず、少し歩いて町に出て他のバスに乗ればすぐ着くだろうくらいに思っていたのだがなかなか町が見えてこない。おいおい150メートルじゃなかったのかー?と思いながらも仕方ないので歩いていると薄暗くなった道路前方に何やら山の様なものが見えてきてその前で渋滞の先頭のトラックが止まっている。それでも私はまだ状況を判断出来ず、なんじゃこりゃ? と思いながら道の脇を通りその山の様な物を越えてから振り返ってはじめて何が起きているのかを知る事になった。そう、これがボリビアで有名なブロッケオ=道路封鎖ストライキだと言う事を知ったのはそれからまだ少し後のことだ。現在、ボリビア多民族国では社会主義寄りで先住民族マイアラ族出身のエボ・モラレス大統領が国民の過半数を占める先住民族からの人気をバックに再選を果たし労働者優遇政策を推進しているので、国民はどんな事でもすぐストライキを起こして自分達の権利を主張し要求を通すと言う実力行使が横行していて、この様なブロッケオが日常茶飯事だそうで、そうじゃなくても南米最貧国と言われているボリビアの経済発展を遅らせていると言う。こんな泥の山を道に作ったらトラックもバスも通れるはずがない。いったいどうやってこの泥を片付けるつもりだろうか。材木を積み上げたりタイヤを積み上げたりするくらいのストライキは何処かで見たことがあるがこんな泥の山を道路に作って完全封鎖するとはかなり気合が入っている。しかしそんな事に付き合っている暇は私には無い。兎も角もサンタクルス方向に歩いてバスのいる町に出なくてはならない。と、そこで負傷者一名。キャリーバックの車輪が一個飛んだ。

歩き続ける事も困難になり、さっきから他の客をピストン輸送していた後部に座席をつけた三輪バイクの様な車に乗って町まで2ボリ(1USドル=約7ボリーノ)払って行く事に。結局150メートルの筈の道は2キロほどありAbapoと言う町に着いた時にはすっかり日が暮れて暗くなっていた。 町と言っても宿屋がありそうもなく今夜中にサンタクルスまで何とか辿り着かなくてはならない。路線バスの様なものも見当たらないので道の脇に停まっている乗り合いバンに交渉してたしか40ボリでサンタクルスまで行く事に。

バンの中がブロッケオの被害者で満員だったのは覚えているがいったいどれくらいの時間乗っていたんだろうか。2時間はかからなかった気がするが時間の感覚が完全に無くなっていて最後に降ろされたサンタクルスの街角に着いたのは22:00時ごろだった気がする。まだそれでもホテルに着いた訳ではないので今度はタクシーを拾って何とかホテルにチェックイン。やれやれと一息ついて夕食を食べにサンタクルス市街へ出て、今ボリビアでブームの”クッピン”を3本食べてホテルに戻った時は既に深夜0時近かったと思う。アスンシオンのバスステーションを出発してから約30時間のバスの旅の顛末である。それにしても、あのままバスで待っていたら私はあの泥山の前で夜を明かすことになっていたんだろうか?

(To be continued)

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