ブラジル訪問記

2018年2月5日から17日まで、ブラジル国サンパウロを訪問した。成田空港からの経路は意外と思われるかもしれないが、ドバイ経由エミレーツ航空でした。日本からドバイまでは10時間、ドバイで4時間のトランジットの後、サンパウロまでは14時間(アフリカと大西洋を横断)。合計28時間ほどかかります。ブラジル訪問は今回が8回目、初めて訪れたのが2000年の12月、その時の印象は、規則が少なく国民が陽気でのびのびしている。しかし犯罪は多い。そんな印象でした。それから18年たち、今は労働者の働く権利と賃金は向上したものの、先進諸外国同様さまざまな細かな規則で、少し窮屈さを感じたりもします。そんなブラジル国の魅力は、国土の広大さ、日本の22倍の広さに、人口2億700万人が暮らしているおおらかさだと思います。2018年は日本人ブラジル移住110周年の年、現在ブラジル移住の子孫は160万人以上いるそうです。そんなブラジルで見てきたことを紹介したいと思います。

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まず私の仕事は、プラスチックのシートに関すること、そんなつながりから、Sansuy(サンスイ)社とSanwey(サンウエイ)社を訪問しました。サンスイ社は、はテント倉庫のシート製造から組み立てまでをする会社です。塩ビシートはターポリンとも呼ばれ丈夫で、大きなものは飛行機の格納庫や駅につながる倉庫などにも使われています。昨年50周年を迎えた日本人が創業した企業です。近年は、養豚場の排せつ物からメタンガスを取り出す、バイオガス・ダイジェスターも製造しています。これにはターポリンで作るタンクの技術が活かされています。サンウエイ社はPPのフレコンバッグを製造しており、ブラジルから世界に鉱石や農産物を輸出するのに使用されています。いずれもブラジルの農業が拡大するのと同時に大きくなってきました。次にブラジルの食品との関わりについて、私が日本に輸入しているものとして養蜂製品のプロポリスがあります。ミナスジェライス州を中心に、養蜂家がはちみつを採取する巣箱に隙間を開けておくと蜂が、木の新芽や樹液と蜂の酵素で粘土状の壁を作り上げます。これをアルコールで成分抽出したものがプロポリスエキスです。抗酸化、抗菌、抗炎症作用などがあると言われています。この製造と販売をしているのがサンパウロ州モジダスクルーゼス市に工場がある、MNプロポリス社です。松田社長は、プロポリスの分析をするため分析センターを作るなど、製品の品質と安全性を分析することでブラジルのみならず、日本はじめ多くの国にプロポリスを輸出しています。

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現在は、ブラジルの日本食ブームにあやかり、製麺工場も運営しています。直営店のMNラーメンのほかにも200店以上に現在月に8万食を供給、来年2019年には2倍になるだろうと言っていました。そんな日本食ブームを後押しするように、すき家が19店舗を展開(2018年末現在)手軽な金額で日本食を楽しめるということで人気があります。牛丼のほかにラーメンも提供しています。実際にラーメンを食べてみましたが、なかなかおいしかったです。3点目は、ブラジルのバイオエタノール事情です。ブラジルのサトウキビ栽培は全農地のおよそ4%にあたる900万ha。このうち50%から60%がエタノール向け、残りは砂糖が生産されます。ブラジルで生産される国内向けの車は、フレックス車でありガソリンでもエタノールでも走ることができます。ガソリンに対して価格が70%以下になるとエタノールが売れるという。実際にはガソリンにも27%無水エタノールが混合されています。現在のサンパウロは車も新しく、バイオ燃料も普及し町で排気ガスを感じることはなくなりましたが、2000年に初めてサンパウロに来た時には、車も古く排気ガスに対してはマスクをしたくなるほどでした。2003年以降フレックス車の増加とともに大きく改善しました。

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最後にブラジルの農業、特に大豆について。同国の内陸部には「セラード」という熱帯サバンナが広がっています。日本国土の5倍以上の広さがありながら、不毛の大地とされていたセラードで日本とブラジルの共同事業が始まったのが1979年です。ここから栽培が広がり最新のデータでは年間1億tを超えたようです。これはアメリカの生産に匹敵するものでアメリカと並び、ほぼ世界一です。そしてその約半分の5000万tが中国に輸出されています。近年のブラジルと中国の関係がわかる逸話です。

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また、ブラジルのレストランといえばシュラスコが有名ですが、次々にやってくる肉のほかにサラダバーがあり、ここには日系人が多く関わっている様々な野菜、ルッコラやレタス、ニンジン、カリフラワー、いんげん、おくらなどが並んでいます。これらの野菜をブラジルの地に紹介したのは日本人移民の大きな功績の一つだと言えます。東京農大の関係者もたくさんいることだと思います。日曜日に開催されるフェイラに出かけると、たくさんの野菜と蘭の花など販売している日系人をたくさん見かけます。そんな時、初期の移民の人たちの苦労話しが頭の中で入り混じって、みなさん本当によくぞここまで、ブラジルの地で日本人が尊敬されるまでに頑張ってくれましたという思いがします。

 

高澤 真

 

2018年3月

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