ウイルス側から考えてみた

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(wrote by Tai Takehara 4/15/20)

人類の敵になってしまった新型コロナウイルスだが、敵に勝つにはまず敵を知らなくてはいけない。ウイルスは一体何を目的としてこの騒ぎを起こしているのだろう?
という視点で考えてみたいと思う。
そもそもウイルスってなんだろうか?ウイルスは生命体と無生物の間に漂う奇妙な存在だという。自己複製をし続けるという意味では生命体だが代謝も呼吸も自己破壊もない。そのままでは自己複製できず生物の細胞に寄生してそれを宿主として増える。その数や多様性は驚異的で例えばわずか1リットルの海水中には一千万個のウイルス粒子が含まれると言われている。ウイルス粒子とはnm(ナノメートル)単位のタンパク質でできた殻とその中に内在する遺伝情報(DNAウイルス・RNAウイルス)のことだ。ウイルスは地球上の生命発生の初源から存在していたのではなく進化の結果登場した高等生物の遺伝子の一部が外部に飛び出したものなのだそうである。ウイルス表面のタンパク質が感染先の細胞側にある血圧の調整に関わるタンパク質と強力に結合してウイルス内部の遺伝物質を細胞内に注入。かくしてウイルスは生物の細胞内に感染して宿主とする。この運動が時に宿主に病気をもたらし死をもたらすことになるわけだ。ウイルスは病原体として研究が始まりハシカなどの病気を起こすウイルスとしてよく知られているが99%のウイルスは病気を起こさないという。宿主を殺すと自分の居場所がなくなるから生き延びる戦略は共生だ。事実、今回の新型コロナウイルスは既に多くの人間を死亡させているもののサーズやマーズのように過激でない(感染してからの致死率が高くない)しかしながら感染力が強い(速い)ウイルスであるが故に増え続け世界中に広がったという。つまり、ウイルスはしばしば宿主に遺伝物質を渡しているが多くの場合は宿主の生命に害を及ばさない。それゆえにウイルスという存在が進化のプロセスで温存されたとも考えられる。おそらく宿主に気づかれる事なく行き来を繰り返しさまようウイルスは数多く存在していてヒトの進化もウイルスのおかげかも知れない。このようにウイルスは私たち生命の不可避的な一部であるがゆえにそれを根絶したり撲滅する事はできない。仮に撲滅したかに見えても進化してまた新型が出てくるだろう。私たちはこれからもウイルスを受け入れ共生していくしかないのだ。
上記のような前提を踏まえて今回の新型コロナウイルスを考えてみると、人類は今このウイルスに勝つ方法を必死に探しているようだが勝つことは出来ないし勝とうと思う必要もないのかも知れない。しいて勝たなくてはいけない対象はこのウイルスを人間に近づけてしまった環境やこのウイルスがきっかけになって起こっている経済的な状況や医療システムの脆弱性だろう。それらの事に関しては別のテキストでじっくり述べるとして、今考えているのはこの新型コロナウイルスが21世紀のこのタイミングで現れ何を人間にしようとしているかである。ひとつ言えるのは、ウイルスに人間の命を奪おうという目的はないという事だ。ウイルスは地球生態系の一部として存在しその進化の同胞に違いない。そう考えると、今回のこの世界を挙げての大混乱は人類の危機ではない、グローバル社会と呼ばれる現代の人間社会の危機だ。ウイルスは人間社会を混乱させる事で人間に共生社会を考える時間を与えてくれているのかも知れない。

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